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G.I.T.S. University

攻殻ユニバーシティ 講義内容

塚本 昌彦

「攻殻機動隊×ウェアラブル」

来たるべく電脳社会の主役は、コンピュータを身体に装着して利用するウェアラブルコンピューティングだ。HMD(ヘッドマウントディスプレイ)やスマートウォッチに代表されるウェアラブルデバイスを実世界で利用することで、人々の暮らしや仕事は大幅に変革する。本講義では、そのような新しいコンピュータの利用方法について、まず最近の産業動向をサーベイした後、講師の研究グループにおいて長年にわたり取り組んでいるそれを実現するためのシステム、インタフェース、デバイスについての紹介する。
さらに、今後の展望について述べる。特に、シンギュラリティというキーワードで最近よく語られる人工知能の驚異的な将来の進化に対抗するために、ウェアラブルコンピューティングをベースとして人間を強化していくことの必要性と可能性について解説を行う。

■プロフィール
1987年3月  京都大学工学部数理工学科卒業
1989年3月  京都大学大学院工学研究科応用システム科学専攻修士課程修了
1989年4月  シャープ株式会社入社、研究開発に従事
1995年3月  大阪大学工学部情報システム工学科講師
1996年10月 大阪大学工学部情報システム工学科助教授
2002年4月  大阪大学大学院情報科学研究科助教授
2004年10月 神戸大学工学部電気電子工学科教授
2007年4月  神戸大学大学院工学研究科教授(電気電子工学専攻)現在に至る
工学博士
NPOウェアラブルコンピュータ研究開発機構理事長
日本ウェアラブルデバイスユーザー会会長

村上 和彰

「ソーシャルシステムの進むべき方向性」

古くて新しい概念「スマートシティ」が近年、パワーアップすると同時により現実味を持ち出して来た。IoT (Internet of Things)、CPSS (Cyber-Physical-Social Systems)、都市OS (Operating Systems)、等々の技術およびフレームワークがその担い手である。これらに加えて、「データの自由化、オープン化」の波が、スマートシティを構成し支える各種「ソーシャルシステム」間の横連携を可能にし始めている。加えて、AI (Artificial Intelligence)の活用により、ソーシャルシステムの動作原理が従来の「モデル駆動」から「データ駆動」に進化しつつある。これにより、従来の「モデル駆動」では対象とし得なかった個々人までをも対象とした「個別最適化」が可能となる。本講義では、これらの背景を踏まえて、データのオープン化がもたらす影響を横糸に、そしてAIがもたらす効果を縦糸に据えて、今後のソーシャルシステムの進むべき方向性を議論する。

■プロフィール
九州大学名誉教授、公益財団法人九州先端科学技術研究所副所長。 1984年 京都大学大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了後、富士通株式会社に入社。本体事業部にて汎用大型計算機のアーキテクチャ開発に従事。1987年 九州大学に異動、2000年 教授。2004年~2008年 九州大学情報基盤研究開発センター長、2007年 九州大学情報統括本部を設立、初代本部長。2008年 公益財団法人九州先端科学技術研究所副所長。2013年 ビッグデータ&オープンデータ研究会 in 九州(BODIK)を設立、現在代表。

稲見 昌彦

「フィクションとテクノロジーの相互作用」

私は『攻殻機動隊』に登場する京レの「熱光学迷彩」モチーフとして、背景が透けて見える「光学迷彩」を開発し、米『TIME』誌でCoolest Inventions of the Yearに選定されたことがあります。私自身はフィクション作品に日々刺激を受けながら研究を続けています。日本でも大ヒットした映画『ベイマックス』のエンドクレジットに、日本のロボット研究者の名前があることをご存じでしょうか。『ベイマックス』というフィクション作品は最先端のロボット研究をリサーチした上でつくられています。
 エンジニアリングは文化の一形態であり、一方フィクションは未来の記憶であり、研究とはその記憶を辿る過程なのかもしれません。フィクション作品と工学技術は、相互に刺激をし合って存在するものだと考えています。本講義では、フィクションとテクノロジーの相互作用の面白さを伝え、私の研究テーマである人間の身体の拡張とその未来像を議論したいと思います。

プロフィール
東京大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻教授。 1999年 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学) 東京大学助手、電気通信大学教授、MITコンピューター科学・人工知能研究所客員科学者、慶應義塾大学教授等を経て2015年11月より現職。自在化技術、Augmented Human、 エンタテインメント工学に興味を持つ。米TIME誌Coolest Invention of the Year、 文部科学大臣表彰若手科学者賞、情報処理学会長尾真記念特別賞などを受賞。 超人スポーツを提唱。超人スポーツ協会共同代表。

岩田 洋夫

「体性感覚メディア技術」

私たちがテレビゲームの中で殴られたとしても、痛みを感じることはありません。現代の電子メディアは目と耳の届く範囲を飛躍的に広げましたが、身体が経験する世界を伝えることができません。失われた「身体性」を獲得するためには、人間が身体的に感じる情報を合成して提示することが重要になります。私はこの課題に対して、手にバーチャルな力覚を与える装置、足の歩行感覚を合成する装置、広視野映像や揺動装置によって移動感覚をもたらす装置などの開発を行ってきました。
 私が攻殻機動隊の世界で最も興味をもったのはタチコマです。実世界とバーチャル世界を自由に動き回り、両者をうまく融合するこの乗り物は、未来社会のあるべき姿を示唆しています。私はこのような機能を持つ装置のプロトタイプとして「メディアビークル」を開発しました。これは、カプセル状の全周ディスプレイと車輪付揺動装置を備え、自動車と擬似体験マシンを合体したものになっています。自動運転の技術が実用段階を迎えた今日、メディアビークルのような装置は2029年を待たずして実用化されるかもしれません。

■プロフィール
筑波大学システム情報系教授。 1986年 東京大学大学院工学系研究科修了(工学博士)、同年筑波大学構造工学系助手。バーチャルリアリティ、特にハプティックインタフェース、ロコモーションインタフェース、没入ディスプレイの研究に従事。SIGGRAPHのEmerging Technologiesに1994年より14年間続けて入選。Prix Ars Electronica 1996と2001においてインタラクティブアート部門honorary mentions受賞。2001年 文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞。2011年 文部科学大臣表彰 科学技術書 受賞。

松原 仁

「人工知能と攻殻機動隊」

攻殻機動隊では人工知能が大きな役割を占めている。ここでは現在の人工知能の研究がどこまで来ているのか、攻殻機動隊の2029年にはどこまで進むと期待されるのか。 人工知能は、人間のような知能をコンピュータに持たせることを目指して、あるいはコンピュータを道具として知能を探求することを目指して、1950年代に研究が始まった。当初はコンピュータに対する根拠のない過大な期待があってブームになった。いまのディープラーニングの原型であるパーセプトロンもこの時期に開発された。しかし結果として期待外れで人工知能は冬の時代を迎えた。1970年代に人間の専門家を模倣したエキスパートシステムが医療の分野などで優れた能力を示し、1980年代に人工知能は2度目のブームを迎えた。この時期にパーセプトロンの拡張であるニューラルネットワークが開催された。しかしエキスパートステムも実用にならないことがわかって1990年代には再び 冬の時代を迎えた。2000年代にニューラルネットワークの拡張であるディープラーニングが開発されて非常に高い能力を示すことがわかって2010年代に人工知能は3度目のブームを迎えている。 今から2029年に向けて人工知能はどうなるのか、フチコマ/タチコマは実現するのか、人工知能がゴーストを獲得することはできないのか。

■プロフィール
1959年東京生まれ。1981年東大理学部情報科学科卒業。1986年同大学院工学系研究科情報工学 専攻博士課程修了。同年通産省工業技術院電子技術総合研究所(現産業技術総合研究所)入所。1993-1994年 スタンフォード大学言語情報研究センター客員研究員。2000年公立はこだて未来大学教授。人工知能、ゲーム情報学、 エンタテインメントコンピューティング、観光情報学などに興味を持つ。著書(共著を含む)に「鉄腕アトムは実現できるか」、 「コンピュータ将棋の進歩」、「ロボットの情報学」、「先を読む頭脳」、「一人称研究のすすめ」、「観光情報学入門」など。 人工知能学会会長、情報処理学会理事、観光情報学会理事など。

©士郎正宗/講談社
©1995士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT
©2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD
©士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会
©2011士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会
©士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会
©士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊 新劇場版」製作委員会