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インテルとMSが電脳メガネ規格を共同策定。VR・複合現実ヘッドセットや対応PC向けに12月公開

2016-08-17 17:15:00

開発者カンファレンスIDF 2016のキーノートで、インテルとマイクロソフトがVR(仮想現実)・AR(拡張現実)デバイスおよび対応PC規格の共同策定を発表しました。

PCメーカーなどパートナー企業はこの新「Wintel」規格をもとに、VRヘッドマウントディスプレイや複合現実・融合現実 (Mixed Reality / Merged Reality)対応PCを製造・販売できるようになります。

開発者イベント 2016 Intel Developer Forum (IDF) の開幕キーノートで、インテルは仮想空間と現実を融合した「Merged Reality」を未来へのビジョンとして提案し、独自のスタンドアロン型VRヘッドセット Project Alloy を実演しました。

インテル、全部入りVRヘッドセットProject Alloy発表。RealSenseで外部センサやコントローラ不要の「融合現実」端末

一方マイクロソフトは、PCやモバイルに続く次世代のプラットフォームとしてVR(仮想現実)やAR(拡張現実)を挙げ、独自の透過型ARヘッドセット Hololens をすでに開発者向けに販売中です。ソフトウェア面では、Windows 10に仮想現実・拡張現実向けの3Dデスクトップ環境 Windows Holographic を組み込むことを明らかにしています。

(マイクロソフトの Mixed Reality イメージ動画)

今回の発表は両社のこうした取り組みを踏まえ、インテルとマイクロソフトが共同で仮想現実 / 複合現実ヘッドマウントディスプレイや対応PCの仕様を策定することにより、パートナーメーカーなどサードパーティーが参入できるエコシステムの確立を目指すという内容です。

(なんちゃらリアリティが多すぎて混乱するため一度整理すると、まずいちばんよく聞くVRはVirtual Reality、仮想現実(感)。いろいろな使い方をされてきた言葉ですが、最近では Oculus Rift や HTC Vive など、視界を覆って仮想空間に没入させるゴーグル型のVR機器がよく話題になります。

静かなOculus、存在感増すVive「我々は2倍のアクセルを踏んでいる」─HTC Nippon玉野社長

ARのほうは Argumented Reality、拡張現実。手近なところでは商品パッケージにスマホをかざすとリンクしたネット情報が見られたり、業務向けでは倉庫で物品を探す際にガイドを表示するなど、現実に追加情報を重ねあわせる系がARと呼ばれます。

VR / ARより聞くことが少ないMixed Reality (複合現実)は、現実と仮想を混ぜる概念。マイクロソフトはメガネ型の透過ディスプレイで現実の空間に仮想物体やアプリを重ねて表示するHoloLensを「ホログラム・コンピュータ」と呼び、HoloLensで実現する現実 + 仮想体験を Mixed Reality (複合現実)と称してきました。

マイクロソフトの「HoloLens」に感じた期待と課題。現実と仮想が混じりあうMRゴーグル

一方のインテルは本日のIDFキーノートで、3DセンサのRealSenseを搭載したヘッドセット Project Alloy ならば、単体で周囲の環境やユーザーの手指まで仮想空間に取り込んで融合できるとして、やはり現実+仮想を Merged Reality (融合現実?)と名づけています。

Mixed Reality や Merged Reality に関しては、マイクロソフトやインテルが自社技術の差異化のための掛け声やマーケティング語のように使っています。VR / AR も含めて技術用語として厳密な区別があるわけではなく、Merged Reality を提唱するインテル自身も Project Alloy を(MR対応の) VRソリューションと呼ぶなど、使われ方は場合により変わってきます。)

本日のIDF発表では、

1. インテルとマイクロソフトは協力して、仮想現実 / 複合現実対応PCおよびヘッドマウントディスプレイの仕様を策定する。目標はハードウェアパートナーが一般消費者やビジネス市場向けに、幅広いデバイスを提供できるようにすること。

2. 仕様の最初のバージョンは、12月のWinHECで公開する予定。

の2点が明らかにされました。蛇足ながら、この場合の「主流消費者(メインストリームコンシューマー)」は、VRヘッドセットのアーリーアダプターであるゲーマー以外というニュアンスです。

マイクロソフトのWindows とインテルのプロセッサといえば、PC市場ではWintel連合と呼ばれ圧倒的な市場支配力を誇ってきました。しかしPCを継承するコンピューティングプラットフォームであるモバイルの世界では、インテルもマイクロソフトも苦戦を続けてきたのはご存知のとおり。

モバイルのさらに次のプラットフォームとも呼ばれるVRでWintel帝国が逆襲を果たせるのか、Googleの Daydream などモバイルOSから生まれたVRプラットフォームが勝利するのか、覇権争いはますます激しくなりそうです。

こちらの動画は、インテルの小型デスクトップNUCで、開発中のWindows Holographicを動かしたデモ。

第三者視点である時点で、現在のVR / AR / MRの制約である視野の狭さを誤魔化しているのはこれまでのHoloLens「デモ」動画と同様ですが、マイクロソフトによれば安価なミニPCのNUCでも90fpsで実機動作しています。