攻殻Dr.による特別講義「攻殻ユニバーシティ」レポート公開!4人の教授が「人工知能」にフィーチャーした講義を披露

2016/12/30 15:00

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2016年11月26日(土)に神戸ITフェスティバル2016 内で開催された攻殻機動隊 REALIZE PROJECT主催の攻殻Dr.による特別講義「攻殻ユニバーシティ」。

 

本記事では、講義内容をレポートします。

 

■Dr.攻殻による特別講義「攻殻講義・私たちの研究と攻殻機動隊」

 

攻殻ユニバーシティは、『電脳(人工知能、ネットワーク、ソフトウェア)』、『都市(交通、エネルギー)ほか』など、各分野で活躍されている先生方による『自らの研究テーマと攻殻機動隊』をお話いただく特別な講義。

 

神戸ITフェスティバル2016では、「人工知能」にフィーチャーをして4人の攻殻Dr.に講義をおこなってもらいました。

 

攻殻機動隊の設定の年である2029年と自らの研究がどう交わっていくのでしょうか。

 

攻殻ユニバーシティ 講演スケジュール
講演① 神戸大学教授 塚本 昌彦 「私たちの研究と攻殻機動隊」
講演② 九州大学名誉教授 村上 和彰 「IoT × AIで私達の生活はどう変わる?」
講演③ 電気通信大学教授 栗原 聡「広大なネット空間に生まれるAIの姿」
講演④ 神戸大学名誉教授 松田 卓也「迫り来るシンギュラリティと人類の未来」

 

■講演① 神戸大学教授 塚本 昌彦「私たちの研究と攻殻機動隊」

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神戸大学 塚本教授からは、「私たちの研究と攻殻機動隊」をテーマとした講義がおこなわれました。

 

究極の夢は「攻殻機動隊の世界の実現」と語る塚本教授は、攻殻機動隊の世界ではウェアラブル機器はたくさん登場しているが、面白い使い方や、日常的な暮らしの中での使い方がほぼでてこないと指摘。

 

ウェアラブル機器が特殊業務オンリーで使われていることは面白いが、「豊かで楽しいサイバーフィジカル世界の構築」も大事ではないかと提案しました。

 

講義の中では、完全独立制御された300個のLEDをまとったダンサーがダンスを踊る「GlocalGrid」など、ウェアラブル機器とエンターテイメントが融合した事例などを紹介。そして最後に「10年後にサイボーグになりたい」という言葉で締めくくりました。

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■講演② 九州大学名誉教授 村上 和彰 「IoT × AIで私達の生活はどう変わる?」

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村上教授からは、ソーシャルシステムの進むべき方向性を考える「IoT × AIで私達の生活はどう変わる?」という講義がおこなわれました。講義形式は、事例を紹介するのではなく、受講者と一緒に思索していく形式。

 

村上教授は、「IoTはデータの量が変わる」「AIは質の変革をもたらす」と説明した上で、「AIで質が変わると我々のビジネスはどうなるか?」と投げかけます。

 

村上教授の答えは、「AI(人工知能)による破壊的イノベーション「人工知能破壊」が起きる。」というもの。

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参考)
第6回 人工知能ビジネスではブルーオーシャンを狙え、目指すは「人工知能破壊」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/062300135/092300006/?rt=nocnt

 

その後は、村上教授の答えた「人工知能破壊」をキーワードに「AIが(あなたの)ビジネスをどうかえるか?」「AIの存在を前提にどうビジネスを創出するか?」を思索していきます。

 

ここで村上教授は「人工知能破壊を起こす 50の方法」のうち5つを紹介し、受講者がこれからの未来を考えるための知恵を教えてくれました。

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・人工知能破壊を起こす 50の方法
1. 戦略設計:AIの限界を知る
2. 顧客価値創造
3. 収益モデル設計
4. 協働型・共存型経済
5. 社会システム再発明

 

そして、最後に「1914年、IBMを作ったトーマス・ワトソンはスローガンとして「THINK」を挙げました。1997年、スティーブ・ジョブスはAppleのスローガンとして「Think different」と言いました。2016年、村上は「think together, do together」と言います。一緒に考え、一緒に行動しましょう。それが攻殻機動隊の世界観を実現するひとつの方法論と考えています」と締めくくりました。

 

■講演③ 電気通信大学教授 栗原 聡「広大なネット空間に生まれるAIの姿」

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電気通信大学教授で、人工知能先端研究センターのセンター長でもある栗原教授からは、シンギュラリティ(技術的特異点)やAIについて語られました。

 

栗原教授は冒頭で、「レイ・カーツワイルが、人類がAIに抜かれると言ったのは2045年ですが、もう既にシンギュラリティのような変化を体感できる出来事ははじまっています」と説明。その事例として、チェス・将棋・碁のプロ対AIの話をしました。

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「チェスの世界王者がAIに負けたのが1997年、将棋が2015年。チェスから将棋までだいたい18年くらいかかったんですね。次は囲碁なのですが、囲碁は盤面も多く難しいので、10年かかると言われていました。でも、今年の2月にGoogleの開発する囲碁AI「AlphaGo」が世界トッププロに勝利を収めました。10年かかると言われていたものが、たった1年で勝ったというのは、まさに変化を体感できることじゃないでしょうか。」

 

栗原教授は、1年でAIが囲碁のプロに勝ったのは「ディープラーニング」の力だと説明します。

 

ここから話はAIへ。栗原教授によると、シンギュラリティを実現するAIのポイントは「群知能」。

 

「人間の身体は細胞の集まりです。1個1個の神経細胞の動きは単純ですが、でも集まってネットワークを組むと色々なことができます。それと同じようなことがAIでもできればブレイクするーがおこるのではないか」と話されました。

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■講演④ 神戸大学名誉教授 松田 卓也「迫り来るシンギュラリティと人類の未来」

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最後の講義は、神戸大学の松田教授による「迫り来るシンギュラリティと人類の未来」。

 

松田教授は、冒頭で「私の定義だとシンギュラリティは、超知能が出来るとき。科学技術が爆発して人類の生活が大きく変わる。このときをシンギュラリティと呼びます。あるいは、知能爆発するとき。」と話をしました。

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また松田教授は、超知能の形は『ターミネーター』のような機会的人工知能の進んだ「機械的超知能」と、攻殻機動隊のような知能増強した人間(サイボーグ)の2パターンあることを説明し、ターミネーターやタチコマを作るより、人間を超知能化することのほうが比較的簡単ではないかと持論を述べられました。
松田教授のいう超人間は、例えば、栗原教授の講義でもでてきた囲碁AI「AlphaGo」のようなものと、人間のドッキングを指します。

 

ドッキングの例で出てきたのは、直近の未来では塚本教授のようなHMDやウェアラブル機器などを装着した人間です。

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さらに先の未来では、網目のレースのような形状をした人とコンピューターをつなぐインタフェースを脳に注射することで、例えば、人間が見た情報がコンピューターに伝えられたり、コンピューターの情報を視覚野に直接伝えられるようになると述べられました。

 

また、これこそが2029年の攻殻機動隊へつながって行く未来ではないかと力説しました。

 

松田教授は、最後に衝撃的な未来を予言します。

 

「シンギュラリティ後の世界は、「究極の引きこもり時代」になり、人は全員が失業し政府がベーシック・インカムでお金を配る時代になる。これは、絶望する話ではなく、仕事をしなくても生活ができるむしろパラダイスな世界が来る」

 

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また松田教授は、政府がベーシック・インカムだけでなく、政府が国民全員に予防注射のような形で、レースを脳内に注射して知能増強をはかるベーシック・インテリジェンスを提案したい、とも。

 

そして、ベーシック・インテリジェンスが配られたとしたら、目の前にホログラムなどによる美女やイケメンが表れるだけでなく、声も聞けて、触れることもでき、まるで「竜宮城のような世界に引きこもれる、素晴らしい新世界が訪れる」(働く必要もないので)と予想して講義を締めくくりました。