「攻殻の世界をリアライズせよ!」攻殻機動隊REALIZE PROJECT 東京・神戸・福岡大会レポート

2015/12/30 08:00

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攻殻機動隊REALIZE PROJECT実行委員会は、東京・神戸・福岡の3都市で「攻殻機動隊REALIZE PROJECT」を開催しました。

 

攻殻機動隊REALIZE PROJECTは、「攻殻機動隊」に描かれている数々の近未来テクノロジーの実現可能性を追求するプロジェクト。攻殻機動隊で描かれている2029年まで残り14年という状況を踏まえ、そのテクノロジーのリアルな実現に向けて取り組む大会です。

 

大会は3都市3テーマでわかれており、東京のテーマは「義体・ロボット・ハードウエア」、神戸のテーマは「電脳・AI・ソフトウエア・ネットワーク」、福岡は「スマートシティ」。それぞれテーマは3つのプログラムにわかれており、個人を対象にしたハッカソン「Hack the REALIZE」、チームや団体での応募を受け付けるコンテスト「Contest for the REALIZE」、そして起業家むけの「Pitch to the REALIZE」(東京大会のみ)があります。

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各都市でプログラムを勝ち抜いた優秀なチームには、2016年2月に開催予定の「攻殻機動隊REALIZE PROJECT the AWARD」での展示や、最も優秀なチームには表彰がおこなわれます。

 

総勢31チーム・133人の参加者

 

3都市大会に集まったチーム・参加者は、ハッカソン・コンテンスト・スタートピッチを合わせて31チーム133人。ハッカソンでは、大手通信会社やIT・家電・商社・ゲーム企業所属のエンジニアほか、行政官や学生に至るまで幅広い参加者が集まりました。コンテンストは、大手家電・IT企業、研究機関、ITベンチャーにくわえ、高校生のエンジニアを擁した団体の参加も。スタートアップ(ピッチ)は、人工知能や筋電義手、ウェアラブルデバイス、ビッグデータなど先端技術を扱うスタートアップがピッチをおこないました。

 

東京大会(義体・ロボット・ハードウエア)

 

大会のスタートを切ったのは東京。3週間という最短の期間で仕上げなければいけない厳しい環境ではありましたが、非常にレベルの高い大会となりました。

 

東京大会のコンテストを優勝したのは、ハンドロイド(株式会社アイ・ティー・ケー)。

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ハンドロイドは、人間型の多関節ロボットハンド。極限環境や有毒ガス等、人間には危険で入りづらく、しかしながら人間の手を必要とする作業をおこなう際に活躍する。データグローブで作業者の手の動きに合わせた遠隔操作も可能。人間の手を100%再現するわけではなく可動範囲を限定することで軽量で安価に提供することが目的。ロボットハンドのなめらかな動作や、操作性、デザイン性に加え、低コストや軽量化など実用的なコンセプトが審査員から高い評価を得て優勝となりました。

image4左:審査員の稲見昌彦教授 右:アイ・ティー・ケー代表取締役 岩田真太郎氏

 

優秀賞は、横浜市立大学 小島伸彦研究室チームの「臓器設計工学に基づいた高機能化マイクロ臓器の開発」と浅草ギ研/Adawarpの「セボットの開発〜デコットへの応用(人工筋肉の実現)」。

 

横浜市立大学 小島伸彦研究室チームは、三次元細胞培養技術、幹細胞の分化誘導、三次元細胞配列制御を駆使して高機能な組織・臓器を作り出す臓器設計技術についての研究をおこなっており、擬態化したヒト、あるいはバイオロイドの生物学的なホメオスタシスの維持に関わる臓器についての再構築技術や、高機能化の技術について発表しました。

image5横浜市立大学 小島伸彦研究室チームと岩田洋夫教授(左から3番目)

 

浅草ギ研/Adawarpは、士郎正宗氏の「攻殻機動隊」内で登場するセボット(センチメートルサイズ インセクト ロボット)や草薙素子の遠隔操作式の予備義体デコットの実現に向けたプレゼン。日本初シリコンバレースタートアップAdawarpとの協業により、遠隔でのセンシング、動き、音声、映像の伝達をおこなうリアルに近いテレイグジスタンスなどについて発表しました。

image6左:審査員の稲見昌彦教授 右:浅草ギ研 代表取締役 石井孝佳氏

 

東京大会のハッカソンを優勝したのは、筑波大学の工学系修士・学士で結成した平成生まれの4人チームShiftの「身体防御スーツ(Cyber Protection Suit)」。スーツにより身体防御能力を強化するデモをおこない会場を沸かせました。

image7Shiftのメンバーと、岩田洋夫教授(左から2番目)

 

優秀賞は、筑波大学で生体制御、ロボティクス、メカトロニクス、サイバニクスなどを学んでいる学生で結成されたBiomachine Industrialの人間の中心視野領域を直感的にズームする「視覚機能拡張インターフェースシステム」。

 

遠くのものを見る際に目を少し細めて凝らす動作を感知し、カメラをズーム、映像をHMDに返すことで視野のズームを実現。人間が自然に行う動作を用いて、現在目を向けている方向の映像をリアルタイムかつ直感的にズームしてHMDに返すことで視野のズームをおこなう実演をしました。

image8Biomachine Industrialのメンバーと岩田洋夫教授(左から2番目)

 

特別賞は、個人参加の方が集まったチームT4W。

image9T4Wのメンバーと攻殻機動隊REALIZE PROJECT実行委員会より、株式会社電通の横山真二郎氏(写真左)

 

東京大会のコンテスト・ハッカソンの主な審査委員は、慶應義塾大学 大学院 メディアデザイン研究科(当時)稲見 昌彦 教授、株式会社Cerevo創業者 代表取締役 岩佐琢磨氏、筑波大学 大学院 システム情報工学研究科知能機能システム専攻 バーチャルリアリティ研究室 岩田洋夫教授、国立研究開発法人 産業技術総合研究所知能システム研究部門 主任研究員梶田 秀司氏。

 

東京大会では、コンテンスト・ハッカソンに加えてスタートアップ(ピッチ)も実施。優秀賞は、株式会社オルツと株式会社MeltinMMI。

 

株式会社オルツは、人間とAIとのコミュニケーション(命令)を仲介する個人向けAI(Personal AI=PAI)を発表しました。PAIとは、クラウド上に自動的に作られるデジタルクローン。人々が日々おこなうデジタル上での様々な活動を学習することで、自動的にその人の個性を学習しクラウド上にデジタルクローンを生成。生成されたクローンはあたかもその人のようにチャットやメールや電話などの対応をするようになるというもの。プレゼンでは、タチコマのPAIを用意し人とタチコマの会話を再現しました。

image10左:株式会社オルツ ディレクター 浅井克哉 中央:株式会社オルツ 代表取締役 米倉千貴氏、右:株式会社DMM.com 今川寛隆

 

株式会社MeltinMMIは、電気通信大学の横井研究室の研究がベースとなった大学発ベンチャー。「多自由度」「高出力」「自然な動き」を同時に解決する世界唯一の意志を機械に直接反映できる筋電義手についてプレゼンをおこないました。

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神戸大会(電脳・AI・ソフトウエア・ネットワーク)

 

日本国内最大のセキュリティコンテストSECCONと共同で、国内初の女性限定ハッキングコンテストCTF大会「攻殻機動隊REALIZE PROJECT × SECCON CTF for GILRS」や、攻殻機動隊S.A.C.シリーズの神山健治監督、神戸大学の塚本昌彦教授、情報通信研究機構 ネットワークセキュリティ研究所サイバーセキュリティ研究室 室長の井上大介氏が登壇した攻殻機動隊REALIZE PROJECT presents「攻殻機動隊の世界をリアルに!公開ブレスト《電脳(人工知能・ネットワーク・ソフトウェア)編》」と同時開催された神戸大会。

 

電脳空間の開発、セキュリティ、ドローン救命、介護ロボット開発など幅の広い内容の発表がある大会となりました。

 

神戸大会コンテンストの優勝は、救命についてプレゼンをおこなったProject Hecatoncheir。IoTやウェアラブルを使った覚知戦略や口頭指導、ドローンによる医療物資搬送による命を救うための時間の短縮や、救急隊や消防隊等緊急公共安全系ミッションの時間を短縮するトータルシステムなど「救命の連鎖を補完」について発表しました。

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image13Project Hecatoncheirのメンバーと塚本昌彦教授(右)

 

優秀賞は、人と人の関係性や社会のつながりを「関係性技術」としてネットワークやソフトウエア、クラウドの分野から研究をしてきた神戸デジタルラボと、人と人の新しいコミュニケーションを「人の体験を分ち合う」ウェアラブルデバイスを開発してきたテレパシーの共同チーム 神戸デジタルラボ・テレパシージャパン JV。

 

スマートグラス「テレパシージャンパー」の「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」、「攻殻機動隊 ARISE」モデルを作成し、スマートグラスとARを併用したリアルとバーチャルを融合させた新しい情報交換などのデモをおこないました。

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image16神戸デジタルラボ・テレパシージャパン JVのメンバーと井上大介氏(手前右)

 

神戸大会のハッカソンを優勝したのはクラウドコンピューティング、画像解析、デバイス、UI/UXなど色々な分野で研究開発をおこなっている研究者チーム フルダイバー。

 

現代のHTML 等の情報を視覚によって共有するWebを、視覚だけでなく触覚をはじめとした五感によるフルダイブを前提とした「電脳空間」の実現を目指す構想を発表。電脳空間上で家具を動かすと、リアルな世界でも家具が移動するデモをおこないました。

image17フルダイバーのメンバーと神戸市 企画調整局情報化推進部 ICT創造担当課長 松崎太亮氏

 

優秀賞は、ビジネスコンサルタントとスタートアップ企業でエンジニアをおこなう2人で結成された CIR。「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」に登場したタチコマをモチーフにした、物理的実体を持ち、高齢者と介護者をサポートするIoTデバイスを提案。高齢者の会話とAIとの会話の様子などのデモをおこないました。

image18CIRのメンバーと井上大介氏。

 

特別賞は、eyehack。
image19eyehackのメンバーと株式会社Cerevo代表取締役 岩佐琢磨氏(右から2番め)

 

神戸大会の主な審査員は、情報通信研究機構 ネットワークセキュリティ研究所サイバーセキュリティ研究室 室長 井上大介氏、株式会社Cerevo創業者、代表取締役 岩佐琢磨氏、神戸大学大学院工学研究科 NPOウェアラブルコンピュータ研究開発機構 理事長 日本ウェアラブルデバイスユーザー会会長 塚本昌彦教授。

 

福岡大会(スマートシティ)

 

スマートシティという難しいテーマにも関わらず7つのチームが参加。活気のある大会となりました。スマート家電につながるアイデアや、地理情報ビッグデータの活用、など幅広いアイデアの発表がありましたが、ハッカソンの優秀チームについては「該当なし」となりました。

 

福岡大会のコンテスト優勝は、東京大学大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構/Kisvin Science株式会社。

 

攻殻機動隊の世界ではあまりふられていなかった2029年の自然について切り込み、2028年・2029年の福岡市を例にとりIoTデバイスを活用した都市育苗やサイバーフォレスト、家庭内に自然を感じられる卓上育苗装置の発表をおこないました。

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image21左:村上和彰教授 右:東京大学大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構/Kisvin Science株式会社 代表取締役 西岡一洋氏

 

コンテストの特別賞は、Wild Ducks。

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ハッカソンの特別賞は、CenterQ。

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福岡大会の主な審査員は、ABBAlab代表取締役 DMM.makeエバンジェリスト 小笠原治氏、東京大学空間情報科学研究センター教授同 生産技術研究所教授(兼任)同 空間情報科学研究センターセンター長 柴崎亮介教授、九州大学 システム情報科学研究院情報知能工学部門 先端情報・通信機構 村上和彰教授。