スタートアップだからできる割り切りを強みに。メガネに装着してウインクで撮影するカメラ「BLINCAM」の方向性

2016/08/10 08:00

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攻殻機動隊の作品世界で描かれるテクノロジー、世界観を実現するために立ち上がった『攻殻機動隊 REALIZE PROJECT』。本プロジェクトのプロジェクト・マネージャー 高瀬 昇太が、自身がCEOを務める株式会社Blincamで未来を感じさせるガジェット「BLINCAM(ブリンカム)」を開発中です。

 

BLINCAMは、メガネに装着して“ウインク”で撮影するウェアラブルカメラ。子どもを抱っこしているとき、料理をしているとき、自転車に乗っているときなど両手が塞がっている状況でもウインクで写真が撮れるのが特長。撮った写真はアプリ経由で、スマートフォンに転送できるほか、アプリ経由でのSNS投稿や、micro USB端子経由で PC などに転送もできる予定です。

 

現在、クラウドファンディングで先行販売予約がはじまり、目標の1300%以上を達成し、今なお支援が伸び続けています。

2016年8月5日

*画像は「Makuake」のスクリーンキャプチャーです。2016年8月5日

 

後編は、攻殻機動隊 REALIZE PROJECTからも影響を受けた話から、製品のコンセプトについて。

 

最先端ではなくコンセプト勝負

——攻殻機動隊 REALIZE PROJECTに関わってみて影響をうけたところはありますか?

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高瀬:大学の先生方とお話できたのは大きかったです。大の大人がキラキラした目で好きなことを研究している姿には刺激を受けましたし、最先端の研究内容に触れることもできました。

 

僕たちの「まばたきセンサー」って、先生方がやっているような最先端の研究からしたら、たいしたことないんです。そもそも、まばたきの検知って他にもやりようもありますし。

 

技術ひとつをとると、先生方には勝てません。でも、まばたきをセンシングして何かに使っているガジェットはまだ世の中にはありません。「最先端の研究からしてみたらたいしたことないけど、一般的に見るとハイテク」、僕らはそういう製品を世の中に浸透させていきたいと思っています。

 

——最先端ではないけど、コンセプトで勝負しているという感じですね。

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高瀬:そうですね。日本人って、良いものを作ったら売れるって思いがちですが、今ってそんなことはないですよね。それに、エンジニアの視点だけで発想すると、良いと思うことをたくさん機能として追加しちゃうんです。BLINCAMで例えるなら、声で起動するとか、ネットが見れるようになるとか、メガネそのものをつくっちゃうとか。そういうものが増えると増えただけ、それが何なのかわかりにくくなっていきますよね。

 

BLINCAMは、「ウインクで写真が撮れる」という3秒で説明できるわかりやすさがあります。

 

——たしかに。最先端の技術や機能を組み合わせると、Googleグラスの方向に行きそうですよね。

 

高瀬:実際にそういう話もありました。それに、エンジニア思考だと、「写真を撮るときにブレちゃダメ」が優先されますが、多少ブレそうでも、使ってもらわないといけないし、使い続けてもらうためには、まずはとりはずしが簡単にできた方がいい。

 

もちろん、BLINCAMのエンジニアは技術力を持っていますし、頭が固いとかそういうことではないですよ。エンジニア思考だけでなく、クリエイティブ脳というか、わかりやすさや、手に取りやすい価格など、売る試作も考えないといけないという話です。

 

——横井軍平さんの「枯れた技術の水平思考」に近いのかなと感じました。製品でいうと、iPod shuffleのような。あれって、発売当時に世の中にもっと機能が凄い製品はたくさんありましたが、「画面もないし、次に何の曲が流れるかもわからない」というある意味すごい製品でした。でも、それを逆手にとって「次にどんな曲が流れるかわからない楽しさ」とか、シャツなどに付けれることを訴求して、大ヒットしたわけで。

 

高瀬:そうですね。今ある技術をうまく割りきりながら、大企業にいるとそういうのなかなか決断できないことをスタートアップだからこそやっていきたいです。大企業だと、どうしても機能的に考えて、カテゴライズしてしまいますが、そういうのって体験が面白くありません。僕たちは、人間のインサイトを考えたデバイスを作っていければと思っています。

 

デバイスだけではなくセンサーやアプリで先を見据える

——攻殻機動隊の設定の年、2029年にはBLINCAMはどのようになっていると思いますか?

 

高瀬:2029年まではさすがに想像できないですが、今後の展開はいくつか考えています。まずは、工事や医療など両手が塞がっていることが多いビジネスの現場に導入してもらいたいと思って動いています。作業報告も楽になるでしょうし、歯医者で口の中を撮って患者さんに見せてあげるなどの使い方も考えられます。

 

他には、BLINCAMの目の動きを鮮明に追うセンサーに焦点を当てた展開もしたいと思っています。たとえば、家のなかで、テレビをとかを目線で操作したり、マウスやタッチパネルの代わりに簡易操作をするなど。目の動きで簡単にコピーアンドペーストとかできたら便利そうですよね。

 

あとは、カメラではなくアプリやソフトウェアのほうです。BLINCAMは、普通にカメラと違って、何気ない瞬間をとることに特化しているので、世界中の人が撮った何気ない瞬間を共有するだけでも面白い体験になりそうです。それに加えて、写真からデータ解析をして、次の行動を予測するとか、趣味嗜好を解析するといったこともやりたいと思います。

 

——写真で解析するのは面白いですね。

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高瀬:あと、ジャーナリズムの変革もやりたくて。今は、マスメディアが報道するニュースを見るのが普通ですが、BLINCAMで撮ったものが瞬時にネットにアップされることで、たとえば、難民キャンプのような日本ではなかなか知れないところを写真で共有していきたいです。ニュース見てるとひとごとになりますが、オンラインで能動的に見ることでじぶんごとになるかもしれません。

素子が「ネットは広大だわ」と言ってますが、ひとりひとりが目で見たものがネットで共有される世界を行く行くはつくっていきたいと思います。