草薙素子も着用するSOMARTA「Skin Series」! 廣川玉枝が語るファッションと身体が融合する未来

2015/08/27 10:00

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身体における衣服の可能性に挑戦し続けるデザインプロジェクト「SOMARTA / ソマルタ」はレディ・ガガも愛用する無縫製のボディウェア「Skin Series」を生み出した。そしてファッション誌EYESCREAM 2011年4月号の特集では、草薙素子がソマルタの「Skin Series」を着用している描写が描かれた。

 

人間の体が義体化・サイボーグ化したとき、機械の部分に被せる「セカンドスキン」(=第二の皮膚)が必要になってくる。そして、セカンドスキンは、衣服の延長上の世界としてそれを着る者の個性を表現するファッション性を伴ったものになるのもしれない。2029年の衣服の未来、ファッションの未来はどのようになるのだろうか。そのヒントを探るべく、攻殻機動隊 REALIZE PROJECTの顧問・エバンジェリストの西村真里子が、「SOMARTA」を牽引する廣川 玉枝(ひろかわ たまえ)氏を訪問した。

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廣川氏は幼少のころからスターウォーズやAKIRAといった SF作品に触れる機会が多かったという。攻殻機動隊は、世界観や演出など設定の緻密さが印象深く刻まれており、「電脳世界の描写を抵抗なくイメージすることができる」と語った。

 

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そんな廣川氏が2006年に立ち上げたのがSOMARTA。元来ファッション業界では「衣服は人間の第二の皮膚である」という考え方があり、それを廣川氏独自の視点で表現したものが無縫製のニット「Skin Series」だ。「Skin Series」は伸縮性の素材を使用しており、縫い目がないので、より身体にフィットする感覚を得ることができる。

 

Skin Series」はデジタル縫製技術によってつくられる。”3Dプリンターで作られる衣服”も今となっては珍しいものではないが、skinを作るのに必要なのは「人間の感覚」だ。

 

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廣川:3Dプリンターでつくられるものは、3Dのデータがダイレクトに反映されますよね。でも、無縫製ニットの場合はもっと平面で考えなくてはいけません。伸縮の幅までを考慮してデザインするのは今のデジタルでは難しく、人間が着た時にどのように模様が配置されるのか、どう見えるのかを想像しながら寸法やサイズを決めるので。人間の経験値に頼る部分が多いんです。

 

機械が全てを作るわけでなく、人的な要素が工程の中で取り入れられている「Skin Series」。それを着用することで無機質な義体や義手を、人間らしく、生物らしくみせることができるのではないだろうか?

 

 

西村:研究レベルでの義体や義手って無機質なモノが多いと思うのですけど、「Skin Series」はそれに個性を与えたり、人間らしさみたいなものを演出することができるのでしょうか?

 

 

廣川:Skin Seriesは編みの組織によって、デザインの見え方やある程度機能を作り変えることができるんですよ。筋肉の意識したスポーツウェアみたいなデザインも可能ですし。機械やロボットにも着せてみたいとも思います。

 

 

西村:サイボーグ(義体)・ロボットを研究される先生達が作るモノの動きや性能はすごい! でも、そこに皮膚感というか人間的なものがどんどん求められてくると感じます。

 

 

廣川:そうですよね。テクノロジーに「デザイン」が加わると、もっと面白い表現ができると思うんですよね。

 

 

西村:そうなるともっと生物っぽい世界ができますよね。 ロボットも人間に近くなる。

 

廣川氏は「ロボットの皮膚も作りたい」とも意気込む。例えば、ヤマハ発動機株式会社と共同で開発した電動アシスト車椅子のコンセプトモデル「Taurs(タウルス) Tamae Hirokawa x Yamaha Motor Design」。

 

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色や素材、仕上げの提案を廣川氏が行い、人間の身体と融合する車椅子を表現している。人間の衣服や椅子に限らず、ウェアラブルの表面部分を仕立てる工程などにもファッションデザイナーの可能性が存在しているという。そこには廣川氏の「境界を越える」という独自の考え方が存在している。

 

廣川:私はいつも境界を越えることに挑戦してきました。それを何であると決めるはそれを見た人です。だとしたら作り手は、これはアートだ、これはファッションだ、これはプロダクトだ、って限界点を決めないことが大事だと思うんです。そのほうが世界が広がるし、面白い。レオナルド・ダ・ヴィンチも芸術だけじゃなくて、建築や土木、医学にも精通していました。そういった、一つの見方にとらわれない人間が世界を変えてきた。ファッションデザインもファッションだけではなく、インテリアとか、車とか、空間デザインにも応用できると考えています。義体や義手をデザインする「身体デザイン」と、「ファッションデザイン」も今後はもっと融合していくと思います。

 

西村:ぜひその先陣を切ってほしいですね!

 

廣川:ロボットが着る服、ロボットのサーフェスのデザインにもチャレンジしたいですね。

 

西村:2029年にはSOMARTAはどうなっていると思いますか?

 

廣川:SOMARTAの「Skin Series」はレディ・ガガさんのように身体で何かを表現したい人に受け入れられています。元来身体性を表現することに優れているので、「スポーツ」や「医療」など自分の身体を意識するようなシーンで当たり前のように使われているといいですね。

 

身体デザイン」と「ファッションデザイン」の融合。それを可能にするのはテクノロジーであると廣川氏はいう。高い技術力を持つところとコラボレーションをし、テクノロジーとデザインを融合させ、新たなものを創出するチャレンジをしたいと意気込む。従来の考え方に縛られず、越境できるクリエイターの存在こそが攻殻機動隊の世界を作り上げていくのではないだろうか。